介護福祉士実務者研修とは
介護福祉士実務者研修は2020年4月に開始した資格です。「介護福祉士」を受験するために、介護の実務経験3年と併せて修了が義務づけられた研修になります。 介護福祉士実務者研修を取得するとサービス提供責任者になることができます。サービス提供責任者は訪問介護事業所への配置が義務付けられており、介護支援専門員(ケアマネージャー)や介護福祉士(介護福祉士)との連絡調整などコーディネーター業務から利用者・家族・関係各所との窓口など重要な業務を担います。
介護福祉士実務者研修は実務者研修と略称で呼ばれることも多いです。
介護福祉士資格を受験するために必要
介護職のキャリアアップとして「介護福祉士」を取得するためにも必須の資格になります。これは2017年に「実務者研修の受講・修了」が義務付けされたためです。介護福祉士は介護スキルの証明とも言われ、多くの事業所では資格手当てが準備されており給与アップも期待できます。
実務者研修の資格取得方法
実務者研修の資格取得方法は主に下記の2つ
- スクールに通学
- WEBメインの通学
実務者研修の講義を受けることで修了証が発行されます。スクールによっては修了試験を行われる場合もありますが理解度を確認するための試験になり、しっかり講義を受けれいれば合格できるでしょう。
スクールに通学
スクール通学で資格を取得する場合、全てのカリキュラムを教室で受講します。 授業で学んだ部分をその場で質問できることから技術・知識の獲得がし易いと言われています。介護福祉士実務者研修の場合、通信講座で受講する方が一般的ではありますが実際に講義を受け質問等ができるのはメリットになるかもしれません。
Webの通信講座
WEB学習では通学と違って場所や時間にとらわれず好きな時間に講義を受講することができます。問題などもデジタルで回答するので提出から回答結果まで時間がかからずその場で確認できるのがメリットになります。通信講座でも「介護過程Ⅲ」「医療的ケア・演習」の科目だけは通学にて受講することになります。
実務者研修の受講資格
介護福祉士実務者研修は受験資格がありません、介護未経験でも受講のできる研修になります。
概要 | |
---|---|
研修内容 | ① 450時間の講義を受講 ② 評価テスト |
受講資格 | 特に無し |
難易度 | 合格率は非公開、不合格でも再テストを受講可能 |
実務者研修の受講免除につながる保有資格
実務者研修は所有している資格によって必要となる受講時間が違います。介護の資格を所持してる場合、実務者研修の受講時間(450時間)が一部免除されます。
- 初任者研修修了者(130時間免除)
- ホームヘルパー3級取得者(30時間免除)
- ホームヘルパー2級取得者(130時間免除)
- ホームヘルパー1級取得者(355時間免除)
- 介護職員基礎研修修了者(400時間免除)
実務者研修取得にかかる期間
実務者研修は一般的な研修時間が450時間(6ヵ月)と定められています。しかし免除される資格を持っていることで受講免除を受けることができ、これより早く実務者研修を終えることも可能になっています。
実務者研修取得にかかる相場費用
実務者研修はスクールによって費用が異なります、無資格の相場は8万程度から一番高くて20万程度と12万程度の開きがあります。また介護職員基礎研修を修了している場合、医療的ケア講習以外は免除されるため費用が大幅に免除されます。
実務者研修のカリキュラム内容
教育内容 | 実務者研修 時間数 |
介護職員 初任者研修 |
1級 | 2級 | 3級 | 介護職員基礎研修 |
---|---|---|---|---|---|---|
人間の尊厳と自立 | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
社会の理解Ⅰ | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
社会の理解Ⅱ | 30 | ○ | ○ | |||
介護の基本Ⅰ | 10 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
介護の基本Ⅱ | 20 | ○ | ○ | ○ | ||
コミュニケーション技術 | 20 | ○ | ○ | |||
生活支援技術Ⅰ | 20 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
生活支援技術Ⅱ | 30 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
介護過程Ⅰ | 20 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
介護過程Ⅱ | 25 | ○ | ○ | |||
介護過程Ⅲ | 45 | ○ | ||||
発達と老化の理解Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
発達と老化の理解Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
認知症の理解Ⅰ | 10 | ○ | ○ | ○ | ||
認知症の理解Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
障害の理解Ⅰ | 10 | ○ | ○ | ○ | ||
障害の理解Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
こころとからだのしくみⅠ | 20 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
こころとからだのしくみⅡ | 60 | ○ | ○ | |||
医療的ケア | 50 | |||||
実務者研修 受講時間数 |
450 | 320 | 95 | 320 | 420 | 50 |
「医療的ケア」は講義50時間とは別に演習を修了する必要があります。 |
働きながら実務者研修を受講することも可能
実務者研修のカリキュラムは450時間と定められているため、休日や仕事終わりの時間に受講する必要があります。
スクールの開講も社会人に合わせて土日や夜間に実施しているものもあるため、都合に合わせたスクール選びをしていきましょう。
実務者研修を受講するメリット
実務者研修を受講するメリットは3つです。
- 資格手当により給料が増える
- たん吸引や経管栄養の知識が身につく
- 無資格より就職・転職に有利
資格手当により給料が増える
介護の職場では資格を取得することで資格手当てを貰えることがあります。 介護職員の平均給与額の状況とう資料からでも「無資格」と「実務者研修保有者」の給与差は平成29年で29,140円ほどあり保持することで給与アップが見込めるでしょう。
資格 | 平均月給 |
---|---|
実務者研修 | 289,700円 |
介護職員初任者研修 | 281,550円 |
保有資格なし | 260,560円 |
たん吸引や経管栄養の知識が身につく
実務者研修では初任者研修で学ばない医療ケア行為の「 たん吸引」「経管栄養」を学ぶことができます。 これは介護職員であっても実務者研修を修了することでこれらの一部の医療的ケアを行えるよう2012年の法改正があったからです。
無資格より就職・転職に有利
有資格と無資格では介護の業務に関われる内容が初歩的な内容に制限されます。有資格者の場合「食事」「排泄」「入浴」なの介護もできますが、無資格者の場合「衣類の整理」「掃除」「歩行補助」など介護しかすることができません。そのため無資格より有資格の方が就職・転職に有利になります。
まとめ
実務者研修を取得することで給与アップや一部の医療ケアができることがわかりました。無資格であれば介護職員初任者研修を受講してから実務者研修を受講するのもいいかもしれませんね。